東南アジアにある国の一つであるフィリピン。大小7000を越える島からなる島国国家である。

その経済は世界平均GDPの4分の1程度で、東南アジアだけで見ても下位に属する。通貨はフィリピンペソで、円に対しては他の東南アジアに比べてやや高い。

フィリピンは日本の支配を離れたあと、共和制の道を歩むことになるが、1965年にマルコス政権が誕生してから、長きに渡って独裁政治が続いた。そのため、資本主義とはかけ離れた経済運営がおこなわれるようになり、競争が阻害され、発展は停滞を続けた。

1980年代、日本は経済発展とともに対外投資を強めていくが、フィリピンの政治問題や治安の悪さやインフラの未整備を忌避する形で、もっぱら他の東南アジア諸国に投資は進んでいった。

そのため、フィリピンだけが流れから大きく立ち遅れ、隣国のマレーシアやインドネシアやシンガポールに大きな水をあけられる結果となった。

昨今では腐敗していた民主主義もやや健全化へと向かい、世界からの直接投資も増えつつある。しかし、依然その水準は低い。

GDPの大半は国内消費である。一方、強い内需とは対象的に輸出は弱い。だがこのことはアジア通貨危機から救う結果となった。内需が主だったため、海外の動向にあまり影響を受けずに済み、幸いにもIMFの管理下には置かれなかった。

さらにフィリピン経済には特異な点がある。それは海外出稼ぎの数がかなり多いことだ。

もちろん国内に雇用を創出する主要産業が少ないことがあげられるが、出稼ぎ者による母国への送金額は、GDPの実に二割弱にも及ぶとの試算もある。

そのおかげもあって、通貨であるペソは他通貨に対して高く、債務の著しいフィリピンにとっては都合が良いと言える。

失業率は例年7%前後を推移しているが、望まない仕事に就いている者も多く、潜在的失業率はかなり高い数値になると思われる。

今後の国家の課題として、やはり政治問題があげられる。新しい政権が生まれて健全な民主主義の推進がされているものの、一朝一夕には腐敗を排除はできそうにない。

発展著しいアジアでは注目されている国家の一つではあるが、いまだ懐疑的な部分も多く、積極的な投資には結びついていない。

中国などでは労働単価が上昇しており、いまだ安い水準のフィリピンは工場誘致などで日本などからの投資を増やすことが今後の課題であると言える。さらに看護師など、日本への出稼ぎも増えており、これからさらに関係が深まることが予想される。